昭和46年、岐阜県東部の町で生まれたヒロイン鈴愛(永野芽郁)が病気で片耳を失聴するも、両親や幼なじみの律(佐藤健)に励まされ、明るくたくましく生きる姿が描かれた。永野さんの圧倒的な演技力は注目を浴び、ふとした目線や、スッと流れる涙などで心情が伝わった。また、高度経済成長の後期から現代までを描く中、当時の流行をドラマに取り込む手法も見事だった。そんな作品を手掛けたのは愛していると言ってくれ」や「ロングバケーション」などで知られ、“恋愛の神様”と呼ばれる北川氏だ。 上京して漫画家を目指すも挫折、100円ショップで働き、結婚・出産、離婚を経て帰郷。岐阜で五平餅の店を開くが、また上京して起業する。最後には、律とともに「そよ風の扇風機」を開発して大団円。「漫画家はもういいの?」「また仕事を変えるの?」「何がしたいの?」と疑問を持つ視聴者も少なくなかった。「朝ドラといえば、どんな艱難辛苦も乗り越えるヒロインの姿に、視聴者は涙を流し、応援しようという気持ちになるのが王道だと考える人いる。でも現実は、誰もが成功者になり得るわけではない」視聴者は、鈴愛を通して己を知り、厳しい現実を突きつけられる。「これぞリアリティー」と解説する。 また天才漫画家、秋風羽織(豊川悦司)や、漫画家を目指す鈴愛たちの姿からは、「作り手の苦悩が痛いほど伝わってくる。もの作りの厳しさが見事に描かれた。 また北川先生自身がツイッターに書き込んだことも話題となった。登場人物の心情を明かすなどし、“炎上”したこともあった。確かに「登場人物の気持ちなどは受け手(視聴者)が決めること。やりすぎた感は否めないが、もしかすると北川先生の計算のうちかも」と思う。それほどまでに視聴者は、鈴愛の人生や、律との恋愛物語に一喜一憂してきた。「恋愛は副産物で、クリエイターへの賛歌、母娘の愛などが根底に流れていた秀作。人間は完璧ではない、だからこそ愛おしいという『人間賛歌』だった」のかもしれない。
かなさん
【半分、青い。】-ニュータイプの朝ドラヒロイン-
更新日:2019年4月26日
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